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バセドウ病眼症へのステロイドパルス 追加

19.05.18

カテゴリ:医院ブログ

前回の記事では当院のステロイド点滴の間隔について話をしました。

では一回当たりの点滴については、どのようなものが理想なのでしょうか。
ちょっと考えてみましょう。

ステロイドパルスでは大抵入院して点滴をするのですが
どこの病院でもメチルプレドニゾロン1000㎎を2-3時間かけて点滴を行っています。

でもちょっと待って下さい。
本当に2-3時間かけて点滴する必要があるのでしょうか。

こういう時は眼科のドクターに聞いても

「ん、なんとなく」
「いままでやってきたから」

しか返ってこないと思います。

そこで薬剤添付文書を見てみましょう。
https://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00065704.pdf

投与方法は「緩徐に静注もしくは点滴静注する」と書かれています。

医療関係者ならわかると思いますが、
緩徐に静注、の意味は「一気に全部入れないでね!」くらいの意味しかありません。

一気に全部入れることがダメなだけで
そこそこゆっくりなら許容できるようです。

さらに読み進めてみると、、、
本剤の高用量を急速静注(500mgを超える用量を10分未満で投与)することにより、心停止、循環性虚脱、不整脈等があらわれたとの報告があるので、本剤の高用量を使用する場合にはこれらの副作用の出現に十分注意の上緩徐に投与すること。

10分以上かければよい、されているのです。

しかも生物学的半減期(薬剤が半分になる時間)は
たったの2.1時間しかありません。

ということは2-3時間かけて入れていると最初に入っていた薬はどんどん減っていってしまいます。
薬剤の効果は、血中濃度がどこまで高まるか、によりますから
長い時間かけて点滴すると、効果が弱くなってしまうことが分かります。

なので、当院では15分程度の時間をかけて点滴して、そのまま帰宅としています。
患者さんも点滴に来て、あっという間に帰ることが出来れば
日常生活に及ぼす影響も少なくて済みます。
https://ameblo.jp/naaaaaaaao8/entry-12461815039.html

出来るだけ負担の少ない、それでいて効果の高い治療を、
昔からやってるから、、、みたいな理由じゃなくて
いろいろなところから情報集めて患者さんに提供していくことが
当院の使命だと思っています。

再度、お断りですが、古典的な入院パルスを否定するものではありません。
治療法の選択は、患者さん個人の自由だと思っております(^_-)-☆

2018年手術実績 3046件
群馬大学 眼科 非常勤講師
涙道涙液学会 理事
オキュロフェイシャルクリニック東京 中央区銀座1丁目ビル8F
03-5579-9995
http://www.oc-tokyo.com/

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