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バセドウ病眼症への減圧術で眼窩脂肪を取るということ

19.04.23

カテゴリ:医院ブログ

当院で行っている手術、眼窩内脂肪を切除する手術ですが、実は世界中で当院でしかやっていません。

もともとUCLA行ったのも骨の減圧手術で世界一有名なGoldberg先生に学ぶためです。
でも、現在その技術をさらに進化させています。

Goldberg先生の手術は本当に素晴らしいものでした。
眼の奥の骨を削る手術を開発した方なのですが、どこまで骨があるのか知識と経験から分かり切った上で行う手術は素晴らしかったです。

眼窩内脂肪を取る、ということはかなりのリスクがあります。
眼窩内脂肪のある部位には神経や血管が密集しているため
それらを損傷するリスクがあるからです。

実際に自分が執刀した患者さんでも、完全失明した方はいませんが
視力・視野の障害を起こされた方もいらっしゃいます。
ただ、取り方と術後の処置を工夫したので最近6か月はいらっしゃいません。

その他、瞳孔が散大したり、近くが見づらくなったりします。
これも細かい神経の障害によるものです。

だからどの医者も眼窩内をさけて、病気の本質ではない、骨を取るのです。

(ちなみに比較的安全と思われる眼窩外壁の骨の切除でも失明することがあります。
自分の患者ではないのですがUCLAに居たときに1人完全失明してました。)

誰もが疑問に思うことですが、
脂肪が増えているのだから脂肪を切除することは出来ないのか。

細かい血管や神経を見ることが出来てそれがあった場合に避けることが出来たらよいのではないか。

我々は顕微鏡を使って大きく拡大して血管と神経を傷つけないように配慮しながら、脂肪だけを取る手術を行っています。

この手術は世界でも行っている人はいないと思います。
誇張ではなく、たくさん海外の学会に行っていますが話を聞いたことがないのです。

眼形成の世界では、世界中のかなりの数のドクターが僕の顔を知ってくれている状態ですから
僕に入ってこないということは世の中に存在しない、と考えてよいはず。

だからもちろん日本の中でこの手術を出来る人はいないはずです。

手術にはかならずリスクがあります。
最近来院される患者さんは、大抵ブログなどを見てからくるので
当院での手術を決めてから来られるのですが
たまにどこで手術するか迷いながら話を聞きにきた、という方がいます。

僕は何かに迷ったときに
同じ状況を他に例えるとどういう状況なのかを妄想してみるクセがあるのですが
その患者さんには術者をタクシードライバーに例えて説明しました。

スタートとゴールがあって
それぞれのドライバーがベストと思うルートで運転をします。
それぞれのルートによってかかる時間は違いますし、安全性も異なります。
患者さんは後部座席に座る乗客のようなものです。自分の身を任せるしかありません。

車に乗ればわかりますが、100%安全ではありませんよね?
ドライバーがどんなに注意していても、もらい事故を起こされるかもしれませんし
急にシカやイノシシが出てくるかもしれません。

その時に大事なのは、、、、
事故が起こっても、患者さんが納得できるタクシードライバーに
身を任せてくださいということです。

この人はベストを尽くしてくれたんだから仕方ない。
そう思える術者を選んでほしいと思います。

100%安全な手術はないのですから
より後悔しない施設を選ぶのがよいと思います。

僕はすべての骨を取った経験があり、そのうえで眼窩脂肪の切除にたどり着きました。
全て経験した上で骨を取ることを第一選択にしなかったのはやはり病気の本質ではないと感じたからです。

増えた脂肪を切除するのが、本質だと感じたからです。

GWも4日間、営業します。(4/29-5/2)
2018年手術実績 3046件
群馬大学 眼科 非常勤講師
涙道涙液学会 理事
オキュロフェイシャルクリニック東京 中央区銀座1丁目ビル8F
03-5579-9995
http://www.oc-tokyo.com/

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