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凹んだ眼球も治します – 眼窩骨折の治療⑤

19.07.14

カテゴリ:医院ブログ

凹んだ眼球も治します – 眼窩骨折の治療⑤

ここまで眼窩骨折の場合の治療について書いてきました。
ここからは実際の症例についてお話することにします。

20代女性、交通事故で受傷。
自動車のハンドルに右目をぶつけ、眼窩骨折と眼瞼下垂を発症しました。

その後総合病院の眼科と形成外科でケガが安定化し改善するのを待っていました。
受傷後1年以上経過し、眼球陥凹と眼瞼下垂がこれ以上改善しないため、当院にご紹介いただきました。

右眼の眼球陥凹は重度で、上眼瞼の影の形状が左右で大きく異なることが分かります。
この方は内壁と下壁の骨折であり、その接合部(Orbital strutという)が折れていました。
接合部が折れるのは、眼球運動障害よりも、眼球陥凹が強く出るタイプ。

この方も非常に強い眼球陥凹が残っていました。
またケガによる眼瞼下垂がありますが、こちらも手術が必要になるため
手術は二回に分けて行う必要がありました。

一回目の手術は、眼窩内下壁骨折の手術で、日帰り全身麻酔で行いました。
二回目の手術は、右上眼瞼の眼瞼下垂手術で、局所麻酔で行っています。

手術を行って眼球陥凹が改善し、左右差が目立たなくなっているのが分かると思います。
とくに上眼瞼の影の形が変わっていることに注目してください。

また、眼瞼下垂手術によって二重の幅が小さくなっているために
左とのバランスが取れてきているのが分かります。

まだ微妙な左右差は残っているのですが、
保険診療で出来るのはここまで。

さらに修正するとなると自費になってしまうことと
ご本人もさほど気にされておらず終診となったのです。

このように眼球陥凹も表情に大きな不具合を生じるのです。
眼球を前に出したり、後ろに引っ込めたり。

どちらも軽々とやっているように見えるかもしれませんが
1年以上治療されていなかったことからも分かるように
この領域の治療には高度に専門的な知識や経験が必要なのです。

次は間違った治し方をされてしまった症例についてお話したいと思います。

 

読んで勉強になったり、面白かったと感じたら、いいね!をお願いいたします。

※患者さんご本人の了解を得て、写真を公開させていただきました。

2018年手術実績 3046件
群馬大学 眼科 非常勤講師
涙道涙液学会 理事
オキュロフェイシャルクリニック東京 中央区銀座1丁目ビル8F
03-5579-9995
http://www.oc-tokyo.com/
新前橋かしま眼科形成外科クリニック 前橋市古市町180-1
027-288-0224
http://www.kashima-oc.com/

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