紹介状を書かないということ
20.01.13
カテゴリ:医院ブログ
少し前に紹介状を書かないことについて書かせていただきました
https://ameblo.jp/kashitomo52/entry-12565462420.html
僕ら医者は、国家試験に通り、医師免許が交付されたら医師として働きます
どの世界でもそうだと思いますが
医者になる前は学生なので何者でもないヒヨコです
そこからトレーニングを受けて一人前の医師になっていくのです
トレーニングの内容は多岐にわたります
というか業務全体なので診療のスキル・手術の技術だけでなく
他科や他院とのやり取りの仕方や、病理の資料の出し方、
明快に教えてもらえるわけでは無いですがスタッフコミュニケーションなども学びます
そうやって医師として成長していくのです
そのなかで紹介状の書き方、紹介状を頂いた時の返書の書き方なども学びます
どういう相手からの紹介で、何を求めているのか
提供する医療情報はどのようなものが必要になるのか
紹介された側であれば、診断結果と手術などの治療予定を書きますし
紹介する側であれば、今後必要になるであろう医療情報について記載します
患者さんから他院への紹介状を書いてくれと言われた場合
医師はどうすればよいのでしょうか
医師の気持ちとしては、今までしてきた診断や治療を患者さんが受け入れず
他のドクターのところで意見を聞きたいということは
患者さんから失格の烙印を押されたようなものですから
決して良い気分にはなりません
そうやって書いた紹介状は無愛想な文面にはなりがちですが
それでも紹介状を書かないということは、普通はありません
それこそ医者の世界の常識ですが、求められた医療情報は出さないといけないのです
数は少ないですが、当院でも他の医療機関に紹介状を書くことがあります
次の治療につながるように当院で行った内容を書いてお渡しします
では、紹介状を書かない、ということはどういう意味があるのでしょうか?
誰にとっての利益があるのでしょうか
患者さん?
いえいえ医療情報は次の治療の参考になりますから、紹介状を書くことは患者さんの利益になるので、書かないということは患者さんの利益になりません
次の医療機関?
いえいえ医療情報はあって困ることはないので、書いて欲しいです
現在の医療機関??
関わるのが2つの医療機関と本人の3者しかいないので
上記2者が違うとなれば、ここしかないですね
ではなぜ紹介状を書かないことが自分の利益になるのでしょうか
簡単に言うと、負けを認めた形になるのがイヤなのです
先ほど書いた通り、患者さんから転院したいと言われることは
力が及ばなかった、ということを思い知らされる出来事です
一般的に、医療機関には身分制度のようなヒエラルキーがありまして
カテゴリーA庶民=一般開業医
カテゴリーB貴族=大病院
カテゴリーC王族=大学病院
ざっくりいうとこんな感じ
高次の医療機関に紹介するということは、医療業界では頻繁に行われています
つまり一般の眼科開業医さんで
地域の大病院とか、大学病院などの高次医療機関に紹介するのはそれほど問題ありません
非常にスムーズに事が進むと思われます
では逆に高次医療機関から下のカテゴリーに紹介されるのはどんな時かというと
「もうあなたは治らない」と、治療をあきらめたケースがそれに該当します
通常は大病院から開業医の紹介されるときは、もう諦めな、と言っているに等しい状態のときなのです
だから、カテゴリーBとCの王族・貴族から見たら、
諦めなって言っているにも関わらず、患者がその先の治療を求めてきて
庶民である開業医に、より高度な治療を求めて紹介する、なんてことはプライドが許さないのですね
だから紹介状は書かない、ということが起こりえるのです
いままでに当院へバセドウの方の紹介状書いてくれなかった
中国地方の大きな眼科病院も
関西の大きな病院も
北陸地方の大学病院も
東北地方の大学病院も
みーんな、その地域でバセドウ治療を任されている王族・貴族なので、庶民に頭下げるのが嫌だったのですね
ちなみに原宿の眼科病院さんは書いてくれます
さすが王者の貫禄、素晴らしいです
前回も書きましたが、当院への受診時に紹介状は無くても構いません
受診した後で問い合わせればいいだけですから
ただし、手紙のやり取りが必要なので、無駄に外来通院が一回増えてしまいます
だから可能なら紹介状は持参してくださいね
2018年手術実績 3046件
群馬大学 眼科 非常勤講師
涙道涙液学会 理事
オキュロフェイシャルクリニック東京 中央区銀座1丁目ビル8F
03-5579-9995
http://www.oc-tokyo.com/
新前橋かしま眼科形成外科クリニック 前橋市古市町180-1
027-288-0224
http://www.kashima-oc.com/
2019年11月10日のバセドウ病眼症講演会の内容はこちら
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